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語学研究センター 音声学ラボ

朗読

蕎麦口上

会津方言

東西、東西と
ちょとお客様のお言葉を止め置きまして
褒める様こそ知らねども
さっと浅黄に褒めましょう褒めましょう
本日この会場に罷り出でましたるは
西会津名物蕎麦屋でござーい

さてこの蕎麦の生い立ちからと申すれば
春は三月ウグイスの
ホーホケキョーの谷渡り
四月、五月も早過ぎて
六月土用は中の頃
狩野八畑へと蒔き散らされ
わずかひと月とも経たぬ間に
蕎麦の白花赤木小太郎と名づけられ
雨や風にと晒されて
祈願七日で角が立つ
九月末頃ともなりぬれば
太政官は長官(かみ)鎌足公にと刈り取られ
稲場やらへと晒されて
やがて曲がり棒弁慶にばったばったと打ち落とされ
三池の拙守もくぐり抜け
唐箕の嵐も無事に超え
石臼の懺悔を受け
絹羽二重の目を忍び
やがて丸木鉢左衛門に宿を取り
湯水と談じてでっちでっちとしとねられ
四角四面の盤上にて
桐丸棒という将軍に剣術を打ち習いしな
駒手を早めて切り離され
やがて石川五右衛門ではなけれども
お湯の中にと入れられて
湯花を散らして戦いしな
竹皮揚笊(ざる)公にと掬いられ
水桶の中にとしばらくは休息を致す

一条殿には右大臣
二条殿には左大臣
三条殿には少納言
四条殿には中納言
五条殿には大納言
この五条通りを形取って
五段の蕎麦と名を設け
蕎麦は白山食い処
盛り塩梅は義経公にと
一ノ谷ではなけれども
これはこちらのお客さん
あれはあちらのお客さん
そうこうしているうちに
向こう勝手の十六、七の姉さんに
蕎麦屋蕎麦屋と囃されて
ちょとお客さまには暇乞い

一つ 暇無しこの奴
二つ 蓋をばちゃんと取り
三つ 見事に盛り重ね
四つ 他所の村までも
五つ 五段の蕎麦なれば
六つ 無性にあがらんせ
七つ 名代のこの蕎麦を
八つ やたらと売り広め
九つ ここでのご相伴
十にとっくりとおあがり下されば
当家のご主人は申すに及ばず
買って奴を一同が
あな嬉しやとホホ敬って申す

嫁さいぐ晩

会津方言 標準語

にしゃも いよいよあすたは嫁さえぐのが
嫁さえぐっつうごんはなあ
先ぎの家の人に なるっつうごんななぞぉ
どたごど あっただってがまんすてな
おなごづうは だんじぃも
そうすねなんねぇだがら

嫁さいげば めずらすがらっちい
みんなに 見られんだぞ
誰 どごでみでっか わがんねぇだがらなぁ
あの嫁は そだづが悪りぃ
すづげが なってねぇどって
ゆわれっからなぁ
気ぃつけねぇなんねぇぞ

動ぐの見だらば なんさでも
ふたすづ手のげぇはずせぇ
あだまは ひぐぐだぞぉ
あづげぇもんは やせらがすなよ
針すごどは 手まめにすろ
なにごども ずるぐすねぇで
はいぇはいぇって げす軽ぐすんだぞぉ
いででのげどう すんでねぇぞぉ

えんめは いづもきれいにすておげ
嫁だじゃくだどって ゆわれっかなぁ
にしゃは俺に似で きめぇ悪りぃがらぁ
あがぎれ切っちゃどっちゃぁ
あさえどまいで あんまこはれ

いいが なんだだって 力おすむなよ
それが としょりどごは でぇづにすろよ
わが親だど思えよぉ
そまづにすっと わが身さぶづなぞう
いいがぁ なにごどおぎでも
どだにせづねぇだだって
つらさなの 出すでねぇぞ
人っつう草には 我慢で花咲ぐだがなぁ
人さは 腹裂げでも
つっけすなの ついでぇなんねぞ
誘わっちゃって
人のぞんざなの こいでなんねぇぞ

食はほせぇぐ かせぎはつろぐすろ
なじょすても 腹へったどっちゃ
干し栗 いっちぃやっから
寝っどぎ一づなめろ
休みまで長げぇがらなぁ
日の暮れごろんなっと
家のどご思い出すげんじょ
そんなどぎは 裏手さでも出でなぁ
家の方むいで おがどご呼べ
でっけ声だすて おがどご呼べ
そすて 我慢すんだぞ

なんだま 泣ぎつらなのすて
なんだだって ごでにはめげがられろよ
体は すんしょだがら
風邪なのひがねよに朝晩気ぃつけんだぞぉ
はぁ明日早ぇがら
火消すて 寝べ 寝べ
今日は おがぁど
仏様のめぇで 寝んなぞぉ

ああ 明日天気にすてくっちいなあ


あなたもいよいよ明日は嫁にいくのね。
嫁にいくっていうことはね、
先の家の人になるということなのよ。
どんなことがあっても、我慢しなさい。
女というのは誰でも
そうしなければいけないのだから。

嫁に行けば、珍しがられるよ。
みんなに見られるのよ。
誰がどこでみているからわからないんだからね。
あの嫁は育ちが悪い、
躾がなってないと
言われるからね、
気をつけなければいけませんよ。

動くものを見たら何でも、
(2本を縫い合わせて被りやすくした)手ぬぐいをはずしなさい。
頭は低くするのよ。
頼まれたことは、そのままにしてはいけないよ。
針仕事は、こまめにしなさい。
何事も、ずるをしてはいけませんよ。
はい、はいと、お尻を軽くするのよ。
どこかが痛い振りなんてしてはいけませんよ。

家の前はいつもきれいにしておきなさい。
嫁がちゃんとしていない、って言われるからね。
あなたは私に似て、肌が弱いから
あかぎれが切れてしまったときには、
麻糸を巻いて、按摩膏(あかぎれの薬)を貼りなさい。

いいですか。何に対しても力を惜しんではいけませんよ。
それから、年寄りは大事にしなさい。
自分の親だと思いなさいよ。
粗末にすると、自分の身に降りかかってきますよ。
いいですか。何事が起きても
どんなに切なくたって、
顔に出してはいけませんよ。
人という草には、我慢で花が咲くんですからね。
人は、腹が裂けても
口ごたえなんて、してはいけませんよ。
誘われてしまってつい
人の悪口など、言ってはいけませんよ。

食は細く、仕事はしっかりしなさい。
どうしても、お腹が減ったときには
干し栗を少しあげるから
寝る時、ひとつなめなさい。
寝る時までは長いから
日暮れになると
実家を思い出すかもしれないけど
そんな時は、裏手にでも出て、
家のほうを向いて、お母さんのことを呼びなさい。
大きい声を出して、お母さんのことを呼びなさい。
そうやって、我慢するんですよ。

何ですか、泣いたりして。
何があっても、旦那さんには可愛がられなさいよ。
体は基本だから
風邪なんてひかないように、朝晩気をつけなさいよ。
ああ、明日は早いから
火を消して、寝ましょう、寝ましょう。
今日は、おかあさんと
仏様の前で、寝るんだよ。

ああ、明日天気になってくれればいいなあ。

松茸採り

会津方言 標準語

なに?
松茸採りの話を教えろって?
昔キノコの出場所は教えるもんでねぇってちゅうから
場所だけは教えらんねぇぞ

二日ばかり雨降りだったので
今日あたりそろそろ出たべぇと思って
あてこと無しに出かけてみた
行きてぇ行きてぇと思っていたから
天気も良いし
あそこの山さでも行って
こじょこだま採ってくべぇと思って出かけてみた

初手に沢っ窪から上がり始めて
沢のかっちから上がって
そね近くに行ったら
マムシの野郎に出っかした
マムシは秋になっと
そねに上がって冬眠するちゅう話だが
逃げもしねぇでのたぐってて
俺はへぎしまに
マムシに出っかせると
キノコが取れねぇことがあるので
やな感じがするが仕方ねぇ
キノコ採れねぇ代わりになるかと思って
棒でぶっ殺して鉈で首もいでにもぞうにした

あっちこっち歩いてみたが
なかなか見っけらんねぇ
これはマムシのせいかと
別のそねさ回ってみべぇと思って
いわっぱぎをえずってみた
いやおっかねぇのおっかなぐねぇ
やっと草の根っこなどに捕まって
ひでぇ終わって安心して
木の枝に捕まったら
その枝枯れ枝なもんだからんだれちまって
にげぇおもろい下に叩き落ちちまった
落ちしまにちっけぇ松の木
たっこさ向こっ脛すっここって
くそっ皮ひん剥いちまった
あんまり痛ぇのでひとっきりすぐだまってたが
そんじぇもいちりんの途中で
落ちたんでなくてよかったな
あん時っきゃ危なく死にっぱぐれかくときだった

ちっとでしかってたら
痛くなくなったので
別のそねの辺り歩っちゃりょごしながら
少し下ってみた
出てるとしば
てぇげぇここら辺りに
出てるわけだがと思って
周りをたんねてみた
そうすっと脇っちょの方に
傘のひさいだキノコ2、3本めっけた
まぁよかったと思って
近くに行ってみたらあるある
手探りで探したら
ちっちゃなものまで30本ぐらいあった
松茸っちゅうは筋になって出てるから
探してみると下った所にも何本かめっけた

合わせて40本ぐらい採れた
こんちゅはなじょうにもこてぇらんねぇわけだ
今日の分は終わったと思って戻ってきたが
こうだことは珍しいこんで
とろとっぺやるもんでねぇ
松茸採れって結構命がけなもんだぞぉ
金欲しいから売っちまったから一本もねぇ

考えてみっと
今回はマムシに出っかせても採れたから
あんまりマムシにこだわることもねぇわけだなぁ


なに?
松茸採りの話を教えろって?
昔キノコの出場所は教えるもんでないというから
場所だけは教えられないぞ

二日ばかり雨降りだったので
今日あたりそろそろ出ただろうと思って
何となく出かけてみた
行きたい行きたいと思っていたから
天気も良いしあそこの山へでも行って
沢山採ってこようと思って出かけてみた


初めは沢の窪から上がり始めて
沢のはじから上がって
曽根近くに行ったら
マムシに出くわした
マムシは秋になると
曽根に上がって冬眠するという話だが
逃げもしないで居座って
俺は行く途中で
マムシに出会うと
キノコが取れないことがあるので
嫌な予感がするが仕方ない
キノコが採れない代わりになるかと思って
棒で殺して鉈で首取って(動けないようにした)

あっちこっち歩いてみたが
なかなか見つけられない
これはマムシのせいかと
別の曽根に回ってみようと思って
岩肌に沿って歩いた
いや怖いの怖くないのって
やっと草の根などにつかまって
這い終わって安心して
木の枝につかまったら
その枝が枯れ枝だから折れてしまって
2間ほど下に叩き落ちてしまった(2間は12尺(約3.6364m))
落ちる途中に小さな松の木
いっぱい向こう脛すりむいて
皮が剥がれてしまった
あんまり痛いのでしばらくだまっていたが
それでも(えじり)の途中で
落ちたのでなくてよかったな
あの時は危なく死ぬところだった

少し腰をおろしていたら
痛くなくなったので
別の曽根の辺りを(うろうろ歩いて)
少し下ってみた
出てるとすれば
大体この辺りに
出てるはずだがと思って
周りをさがしてみた
そうすると脇の方に
傘にひらいたキノコ2.3本見つけた
まあよかったと思って
近くに行ってみたらあるある
手探りで探したら
小さなものまで30本くらいあった
松茸というものは筋になって出てるから
探してみると下った所にも何本か見つけた

合わせて40本くらい採れた
こんなふうに採れたら嬉しくてしようがない
今日の分は終わったと思って戻ってきたが
こんなことは珍しいことで
そんなに度々あることではない
松茸採りって結構命がけなもんだよ
金が欲しいから売ってしまって一本もない

考えてみると
今回はマムシに出くわしても採れたから
あんまりマムシにこだわることもないわけだね

福の神に貧乏神

会津方言

※語り部 85歳・女性

 じゃあ今日は、『福の神に貧乏神』という昔話を語ります。

 ずっと昔があったと。
 昔々ある村に、一人の若者がいたと。
 なんぼ働いても働いても、暮らしが楽になんなかったと。
 そこであるとき、若者がな、
 「なんぼ稼えでもこうだ、暮らしも楽になりもしねえ。おら、仕事なんどやめた。」
 そう言って、今まで働いてたがなやめてしまって、毎日遊んでたと。
 そして、二日遊び、五日遊び、一週間遊んでみたが、ちっともおもしいことはなかったと。
 ほんじ、ある日若者が、
 「おれは昨日まで一週間遊んだが、あんにもおもしれえことがなかったなあ。
 やっぱり働くのが一番いい。働けばお金ももらえるし。」
 考え直して、次の日からまた、働き始めたと。
 毎日働いて、暮らしぶりも良くなったと。
 そこへ今度は、嫁さんを世話してける人があったもんで、嫁さんをもらって、
 今度は二人で毎日は働いたと。
 ますます暮らし向きが良くなったと。
 ある朝な、若者が言ったと、かかに、
 「おい。早く今日も朝ご飯食べて、働き行ぐだぞ。早くやることやってしまって、まんま食え。」
 かがさまも、
 「そうだ、そうだ。おれ、早く洗濯してしまうから、そして、まんま食って今日も働き行ぐべや。」
 二人で毎日働くもんで、暮らしぶりが段々良くなったと。

 ある日のこと、その日は仕事が休みの日だったと。
 それでな、若者が、
 「おい。かか、かか。今日は休みの日だから、やることやっちまってお前もゆっくり休めよ。
 明日から、また仕事に行くだから。」
 「わかったよ。」
 二人でな、休みの日だから休んでたが、なんぼ遊んでた日でもお昼になったから、
 「昼飯食うべえや。」
 お昼食べてたらば、二人が棲んでるちっと離れたところに物置があんだ。
 その物置の中から、誰か泣く声が聞こえんだって。
 夫婦で顔を見合わせやったと。
 「おかしいな。ここのうちは俺たち二人しかいねえのに、あの物置に誰か泣く声がすんのは、
 誰がいんだろう。」
 と思って、若者が、
 「俺、行って見て来るから。」
 ちょっと離れたとこにある物置さ行って、戸を開けて見たらば、その物置の中に、
 一人の男がいただって。
 その男はな、髪の毛はぼうぼう伸びる、髭はぼうぼう伸びる、よくよく痩せこけた、
 ぼろぼろの着物を着て、おいおい、おいおい泣いてんだって。
 その若者はしばらくそのぼろぼろの着た男の人のとこを見てたけっじょ、
 「お前はそこで何で泣いてんだ。」
 って、聞いたらば、
 「俺はな、昔からここの家に住み着いてんだが、何だか今日は悲しくて泣いてんだ。」
 って、言うだ。
 「なにが悲しいだやれ。ここの家に昔から住み着いてんのか。」
 って若者が聞いたらば、
 「うん。昔から住みついてんだ。」
 「何でも泣くことはあんめ。」
 そして、そうやって言い殴って、若者がかかんとこに戻ってきたと。
 そしたら、かか様が、
 「あの物置で誰が泣いてただや。」
 って聞かれたが、貧乏神がいたとも言えないから、黙って何ともかか様に言わねえで、
 その日も働きに行って、それから一ヶ月くらい経ったある日のことだって。

 その日は休んでたらば、その例の物置から先だって泣く声が聞こえただが、
 今日は誰か相手があって、何かものの言いくらしてるんだって。
 「おかしいな。誰が今度はいんだべ。誰か相手があるみたいだ。」
 と思って、若者が言ってみたらば、そこにな、先だってのぼろぼろの着た貧乏神がいたが、
 そのそばに今度はな、ふくぶくしい、ふとぶとと太った、金ぴかの着物を着た、
 どっから見ても福の神らしい人がいただって。
 そして、その人が貧乏神に言ってんだって。
 「おい、貧乏神、貧乏神。ここの家はもうお前の棲んでる家でないだ。
 金がとてもたまってきて、お前のような貧乏神が住み着いている家でねえ。
 今日からはこの福の神が、ここの家に居座んだから、お前は出てけ。」
 ところが、貧乏神にも言い分があって、
 「そんなこと言わっちゃっても、そんな簡単には出てがんに。
 おら、ここの家に何十年も棲んでんだがら。」
 そして、なかなか言うことを聞かねえだ。
 そして二人で、出てけ、出でがんに、の押しくらやってんだって。
 一人は出てけ、一人は出てかんに、押し問答してたけっちょ、そこを若者が何を考えたのか、
 こうして眺めていたけっじょが、
 何と思ったものやら、こっちから勢いを付けてって、普通なら福の神のことなんど突き飛ばさないはな。
 普通なら貧乏神を突き飛ばすのに、その若者は福の神のことを突き飛ばしただって。
 なんぼふとぶとと太った福の神でも、若者が勢いを付けてって突き飛ばしたもんで、
 その場にべたっと転んだけども、すぐに起き上がって外の方さ逃げて行ってしまったと。

 そしたら、その転んで起き上がって出てはいっただが、その後に何か落ちてんだって。
 なんだろう、と思って拾って見たらば、
 「どうもこれ、何だろうな。福の神が持ってたから、これ打ち出の小槌かな。」
 と思って、若者がひっくり返しかっくり返し見てたら、そこさかか様が言っただって。
 「あんた、なんだよそれ。打ち出の小槌でねえがやれ。誰にそんだいいがなもらっただ。」
 って、かか様が言うだって。
 「誰にもらったじゃあんめえ。今、こっから逃げ出してった、福の神がここさ落としていったから、
 今おれ拾って見てたとこだ。」
 「あんた、それは打ち出の小槌だよ。打ち出の小槌というのは、何でも願い事を聞いてくれんだから、
 あんた何かそれから打ち出してもらえ。」
 って、言うだと。
 「何出してもらうだ。」
 すっと、かか様が、
 「何って毎日お金使うだもの。お金いっぱい出ろって振ってみらっせ。」
 若者右の手に持ってな、
 「お金いっぱい出てみろ。」
 打ち出の小槌ふいやったら、その小槌からお金がざらざら、ざらざらざら出たと。
 いや、若者もたまげる、おかみさんもたまげる。
 たまげちゃって、お金が打ち出の小槌からいっぱい出たから。
 そしたら、今度はかか様が、
 「あんた、今度は左の手に持ち替えて、違うものを出してもらってみろ。」
 「違うものって何を出してもらえばいいだ。」
 そしたらな、かか様が言ったと、
「毎日おまんま食ってんだから、お米出してもらえば。」
 「そうか。」
 若者は今度は左の手に持ち替えて、お米がいっぱい出ろとこうして振ったらば、
 今度はその打ち出の小槌からお米がさらさら、さらさらといっぱい出る。
 そしてそこに、ぼろぼろの着物を着てた貧乏神もいつのまにかふくぶくしい福の神になって、
 その夫婦は一生幸せに暮らした、という『福の神と貧乏神』という昔話でした。

 これで一話が終わります。

湯の花小唄

会津方言

  ※歌い手 88歳・女性

 さぎり湯けむり いで湯の里に
 乙女みよりの 乙女みよりの 玉の肌
 ここは湯の花 お湯の里 お湯の里

 深い谷川 むこうとこちら
 結ぶ架け橋 結ぶ架け橋 恋の橋
 ここは湯の花 お湯の里 お湯の里

 きりのさしろは ざいしょのほこり
 君に情けの 君に情けの 雨降らす
 ここは湯の花 お湯の里 お湯の里

 くもいたつおの きりんのほのほ
 小町お花の 小町お花の 身を焦がす
 ここは湯の花 お湯の里 お湯の里