Center for Language Research
University of Aizu
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超音波研究の方法論
1969年、発声研究における舌の運動の観察手法として初めて1次元の超音波が使われ(Kelsey et al., JASA 46)、舌の表面の一点を見ることが可能になりました。1981年には2次元の超音波が導入され(Sonies et al., JASA 70)、現在も発声研究において使われています。近年の画質向上と低価格化により、超音波は発声研究の現実的な手段となってきましたが、一般に用いられるようになったのはごく最近のことであり、データ収集や分析方法は各研究室によって異なっているのが現状です。私たちの研究室では、これらの方法論について検証・検討を行っています。
論文
・プローブ固定及び頭部非固定状態における頭部運動と舌圧縮
近年、音声学研究に超音波を使用する研究室が増えたことで、データ収集にも様々なセッティング方法が見られるようになりました。よく用いられるのは、頭を固定したり特別な機器によって頭のブレを補正する方法ですが、これらの設備は高価でスペースを必要とするうえ、被験者の発話を不自然にする恐れがあります。Gick、Bird、Wilsonは、被験者の後頭部にヘッドレストを与えることである程度の精度が得られること、プローブ(超音波機器の探針)による舌の圧縮が最小であることを明らかにしました。私たちの研究では、低コストかつ実験的な設備の下でどれだけの精度が得られるかを調べるために、ViconMx460モーションキャプチャーシステムを使用して、日本語話者9人に対して頭の動きや舌の圧縮などを調べます。被験者は壁に頭を預け、卓上マイクスタンドに固定したプローブを装着した状態で椅子に座り、こちらが用意した60の文章を読みあげます。この研究によって、発音や言語と頭の動きとの関係や、舌の圧縮がどの程度引き起こされるかを知ることができ、今後の実験的な設備や分析において大いに生かされると考えています。